病院長挨拶
病院紹介
外来のご案内
外来診療担当医
入院のご案内
お見舞いの方へ
健康診断をご希望の方へ
交通のご案内
お問い合わせ先
診療実績・臨床指標
調達情報
契約公開
情報公開
バリアフリー
リンク
クリニカルインディケーター
病院広報誌
看護ケア推進たより
産婦人科instagram
当院でのお産について
患者さんへのお願い
個人情報保護方針

膝関節機能を温存できる手術

担当医師 診察日

■ 山田裕三
水曜日 PM(紹介初診)
木曜日 AM(紹介初診) どちらも紹介状と予約が必要です

手術実績(高位脛骨骨切り術)

2014年 32例
2015年 64例

変形性膝関節症、膝関節骨壊死症に対する治療
初期治療の原則は保存治療ですが、症状が改善しない場合には手術が必要です。具体的には痛み止めの薬や関節注射(ヒアルロン酸)、運動療法(ストレッチや筋力強化)、装具療法(膝のブレースや杖)などの保存治療を6か月以上続けても痛みが改善しない場合、手術治療を検討します。
当院では関節を温存できる高位脛骨骨切り術(こうい けいこつ こつきりじゅつ)を行っています。活動性(運動や仕事)や膝関節の変形の程度(レントゲンやMRI)を評価して治療方針を決定します。

膝関節機能を温存できる手術
変形性膝関節症の手術治療の1つとして膝関節を温存できる高位脛骨骨切り術があります。O脚(内反変形)の膝はレントゲンでみると膝内側の関節のすきまが狭くなっています。体重がかかるとさらにすきまは狭くなり、大腿骨と脛骨(すねの骨)がゴリゴリとこすれて痛みが生じます。変形性膝関節症の初期から中期の患者では膝の内側は損傷していますが、膝の外側は正常のことが多いです。このような膝に対しては膝関節の関節表面全体を切除する人工膝関節全置換術をしなくても高位脛骨骨切り術をすることで痛みをとることは可能です。さらに、すり減ってなくなった関節軟骨が術後の経過で再生されることも証明されており、長期的に良好な成績が得られることが期待されています。

高位脛骨骨切り術(こうい けいこつ こつきりじゅつ)とは
この手術は脛骨(すねの骨)の膝関節近くで骨切りして膝のO脚変形を矯正します。O脚に変形した膝を矯正することで、膝の内側にかかっていた負担を軽減する事ができ、膝の痛みがなくなります。矯正する角度は膝の変形の程度により異なるため、手術の前に詳しいレントゲン検査を行い手術の計画を立てます。
従来、この手術は手術後に数か月間の荷重制限(松葉杖を用いて手術をした足に体重をかけないようにする)をし、さらにギプスなどによる固定が必要でした。関節が温存できるという利点がありましたが、術後の活動制限を長く強いられ社会復帰に時間を要するという欠点がありあまり選択されることがありませんでした。
近年、新しい手術方法が考案され、また、手術器具の開発が進み、これまで最大の欠点であった術後の荷重制限の期間が大幅に短縮され、ギプスなどによる長期間の固定も不要となりました。早期の退院と社会復帰が可能となりました。また、従来の手術方法よりも矯正角度の正確性が高くなり合併症(神経麻痺など)も軽減して、高位脛骨骨切り術は再び脚光を浴びるようになりました。
術後は翌日から車いすへの移乗が可能となり、術後1週間から部分的に体重をかけて歩く練習を始めます。術後2週間から全部の体重をかけて歩く練習を開始して、歩行や階段の上り下りが可能となれば退院は可能です。自動車の運転や自転車走行は全荷重歩行が安定していれば可能です。
  
高位脛骨骨切り術の利点と欠点
      <利点>
    • 膝関節の機能が温存できる
      →関節内の靭帯(前十字靭帯、後十字靭帯)や半月板は温存されますので、本来の膝関節の機能(関節の安定性、円滑な運動、ひねりや衝撃に対する耐性)が温存されます。
    • 損傷した関節の軟骨が再生されることもあります
      →最初の手術の時に完全に無くなっていた関節軟骨が手術後に修復されていることがあります。約4~5割の患者でこのような修復が見られます。軟骨が再生されるくらい膝関節の環境がよくなっていると考えられます。
  
関節軟骨が完全に消失した骨の表面(左図)が、術後1年で右図のように関節軟骨が再生され関節面が修復されている
    • スポーツ活動や膝をよく使う仕事が可能です
      →レクリエーションレベルのスポーツや膝を使う労働(しゃがみこみ、長時間歩行、重い荷物の持ち運び)は可能です。ただし、復帰までにはしっかりとした運動訓練(ストレッチや筋力強化、持久力強化など)が必要です。
    • 正座やしゃがみこみも練習次第では可能です

      手術前に膝の動きが良かった方は、手術後に正座やしゃがみこみも可能です。
      ただし、手術前に膝の動きが悪くて筋肉や関節が拘縮(かたまってしまっている)している方は、術後の膝の動く範囲も制限されます。
      手術後に全員正座ができるわけではありません。






<欠点>
  • 術後の回復するスピードは人工膝関節全置換術に比べると遅いです
    →術後2週間で全部の体重をかけて歩く訓練を開始しますが、術後1~2か月までは歩行時に軽い痛みや重だるい感じがあります。杖があれば症状は軽くなります。
  • 骨を切った部位が治る(新しい骨ができる)まで3~6か月かかります
    →レントゲンで骨切り部分に新しい骨を認めるのは術後2~3か月です。次第に骨切り部の隙間は新しい骨で埋まっていき、術後6か月くらいで大部分の隙間がうまります。本格的な運動や重労働は骨切り部分が治ってから許可しています。日常生活での動作(歩行や自転車)は退院後可能です。
  • 骨切り部(膝の内側)の固定材料(金属製のプレート)の違和感
    →骨切り部分が完全に治れば固定材料を抜去することを勧めています。手術後1~2年で抜去します。
この手術のよい適応
<変形性膝関節症の患者>
  • 変形の程度が軽度から中等度(詳しくはレントゲン評価が必要)
  • 膝の動きがよい(あまり伸びない膝や曲がらない膝は手術後のリハビリで苦労します)
  • 活動性が高い(スポーツや仕事で膝をよく使う方、趣味での運動を続けたい人)
  • 年齢による制限はありません。ただし、高齢の方(80歳以上)では骨密度低下や筋力低下、関節のかたさなどを認めることが多く、術後のリハビリを考えると人工膝関節全置換術を勧めています。
  
O脚変形の膝             左ひざのレントゲン

<膝関節骨壊死症の患者>
高位脛骨骨切り術の良い適応です。この疾患は損傷している部位が限局的(膝の内側)なので、この手術の一番の適応と言っても過言ではありません。ただし、この疾患は保存治療(松葉杖使用や消炎鎮痛剤)でも改善することがあり、ただちに手術を行う必要はありません。

手術の成績に悪い影響を与えるもの
  • たばこ: 骨切り部の治りが悪くなることが知られています。必ず禁煙が必要です。
  • 体重: 体重が重すぎると長期的な成績が悪いことが知られています。目安としてBody Mass Index(BMI)が用いられています。
    BMI=体重(kg)÷身長(m) ÷身長(m) :25以下を目指してください。
  • 膝の伸びが悪い: 膝の伸びの制限は15度以下(床に座って膝を伸ばした時に膝の下に手のひらが3枚以下)。完全につくのが望ましいです。
  • 膝の曲りが悪い: 膝の曲りは130度以上が望ましいです。
  • 骨粗しょう症: 骨切り部の治癒に影響します。術前に骨粗しょう症が疑われる場合には骨密度検査や血液検査を行います。場合によってはカルシウム製剤やビタミンDを内服していただく必要があります。
  • 骨粗しょう症に対する薬剤: 骨吸収を抑制する薬剤(週1回または月に1回、朝起床後の食事前に内服する薬剤)は術後の骨の形成を阻害する可能性がありますので休止が必要です。内服している薬があれば外来で担当医師に相談してください。
外来診察から入院治療、社会復帰までのながれ

<外来の診察>
高位脛骨骨切り術ができるかどうかを評価します。
  1. 身体所見
    膝の“伸び”と“まがり”が悪くないかどうかをチェックします。動きが悪い場合にはまず運動療法を指導します。
  2. レントゲン検査
    膝の変形の程度を詳しく評価します。膝の内側だけでなく外側や膝蓋骨(お皿)の周りにも変形を認める場合はこの手術の適応外となります。
  3. MRI検査
    関節の靭帯や半月板、関節軟骨の状態を評価します。
  4. 骨粗しょう症の検査
    骨粗しょう症が疑われる場合は、骨密度検査や血液検査で評価します。
  5. 手術前の一般検査
    手術を受けることになれば、血液検査や心電図、呼吸機能検査、胸部および腰椎レントゲンなどの全身の検査が必要です。
  6. 担当医師が手術の説明をします。その後、入院センターで入院の手続きを行います。
<入院>
手術の前日に入院します。入院後、以下のことが行われます。
  1. 病棟内の案内と看護師による問診
  2. 薬剤師による内服薬のチェックと説明
  3. 麻酔科の術前の診察と説明(麻酔方法の説明を受けます)
  4. 理学療法士による術前の評価
  5. 術後に使用する膝固定装具のサイズをチェックします。
<手術>
関節鏡による関節内治療について
関節内に存在する痛みの原因は関節鏡で治療します。
半月坂損傷:膝を動かした時のひっかかり感や痛みの原因となります。半月板は膝関節を保護する大事な役割がありますので、損傷が軽度で痛みやひっかかりの原因となっていない場合には取り除くことはしません。損傷程度が強くて痛みの原因となる場合には切除が必要です。
関節軟骨損傷:関節軟骨損傷に対しては、損傷程度が軽度の場合には放置、中等度~重度の場合には関節面表面の軟骨が修復できるように処置を加えます。 膝関節骨壊死症で局所的に軟骨と骨が欠損している場合には骨軟骨移植術を行います。
高位脛骨骨切り術について


脛骨(すねの骨)の一部を切り、レントゲンで確認しながら慎重に骨切り部を開大していきます。1mm,1度の単位で慎重に矯正を行っています。目標とするところまで矯正できれば、骨切り部の隙間に人工骨を挿入します。術前計画で骨切り部の隙間の形を計測して、その大きさに合わせて人工骨を手術中に細工します。この人工骨は時間とともに自分の骨に変化していきます。さらに、矯正した角度が戻らないように骨切り部には強固なプレートとネジで固定します。この人工骨の挿入と強固な固定材料の使用により、術後早期の荷重歩行と膝の屈伸運動が可能となりました。
ちなみに、固定材料はチタン製ですのでMRI検査には全く支障はありませんし、金属アレルギー出現も極めてまれです。

<術後のリハビリ>

・術後は約1週間、とりはずしが自由な固定装具(ニーブレース)で固定します。アイシングや清拭(ぬれた布で足を洗います)、リハビリでの膝屈伸運動の時には装具は除去します。






・術翌日から車いすまたは松葉杖を用いて病棟内での移動は可能となります。リハビリ訓練室で起立訓練を開始し、ゆっくりと膝の屈伸運動や筋力強化訓練を開始します。






・術後1週経過すれば、本格的に膝の屈曲伸展の訓練を開始し、体重の半分を足にかけて歩行を開始します。歩行器や松葉杖を使用します。






・術後2週経過すれば、全荷重を許可します。杖での歩行を練習します。歩行が安定すれば階段の上り下りの練習も行います。
・術後3週経過して歩行が安定すれば退院となります。
・骨の強さやプレートの固定性によりプログラムは変わることがあります。
<退院から社会復帰までに>
・当院での入院期間は約3週間です。退院時は安全のため杖を使用して歩行することをすすめています。
・自動車や原付バイクの運転は全荷重歩行が安定していれば可能です。
・自転車の使用は固定式自転車(エアロバイク)で膝の動きがスムーズであれば許可しています。
・重労働(重たい荷物の運搬やしゃがみこみ動作など)や軽い運動(ゴルフやハイキングやボーリング、ヨガなど)は骨切り部に新しい骨ができ始めると可能です。術後3~4か月でできることが多いです。
・骨切り部が新しい骨でほとんど埋まれば、運動制限はしません。あらゆるスポーツ、労働が可能となります。早い方では術後6か月、一般的には9~12か月で可能となります。
・外来での定期的な診察は、手術後6か月まで毎月1回レントゲンまたはCT検査を行います。その後は、手術後9か月、1年、1年半、2年、以降1年に1度予定しています。
膝関節

最終更新日:2016年1月13日

PageTop