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人工股関節クリニック

診察日

■ 中田 活也:
水曜日AM/PM(再診)、木曜日PM(専門)、金曜日AM(初診)
■ 北田 誠:
水曜日AM/PM(再診)、木曜日AM(初診)、木曜日PM(専門)

担当医の紹介

中田活也
略歴:
大阪大学医学部医学科卒業
大阪大学医学研究科博士課程卒業
大阪大学医学部附属病院、吹田市民病院
国立大阪病院、大阪大学、市立川西病院
関西労災病院、市立豊中病院を経て、2008年から大阪厚生年金病院
資格:
医学博士(大阪大学)
日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定リウマチ医
日本整形外科学会スポーツ認定医、日本リウマチ学会専門医
専門:
股関節外科・膝関節外科・人工関節外科・低侵襲手術(MIS)
北田誠
略歴:
大阪大学医学部医学科卒業
大阪大学医学部附属病院、星ヶ丘厚生年金病院
市立池田病院、大阪警察病院、大阪労災病院
協和会病院を経て、2013年から大阪厚生年金病院
資格:
日本整形外科学会専門医
専門:
股関節外科・人工関節外科・低侵襲手術(MIS)・コンピューター支援手術

手術実績(2012年1月~12月) 440件

  • 人工股関節置換術:264例
     (感染率<1%、脱臼率<1%と合併症は極めて少ないという実績です)
    • 人工骨頭置換術:7例
    • 骨接合術など:32例
  • 人工膝関節置換術:137例

対象疾患

  • 変形性股関節症、大腿骨頭壊死症、関節リウマチ、急速破壊型股関節症、変形性膝関節症、大腿骨頚部骨折などの股関節・膝関節の変形・破壊・外傷により関節の痛みや歩行困難をきたす疾患
  • その他診断に難渋する股関節・膝関節疾患の精査

治療方針

  • 人工股関節手術(THA)・人工膝関節手術(TKA)だけでなく、関節温存手術(自分の骨を骨切りして関節の噛み合わせを治す手術)も施行しています。
    (1) 早期社会復帰のために筋肉を傷めずに人工関節を入れる技術を導入しています(低侵襲性人工股関節手術:MIS-THA)。 早期社会復帰には迅速な筋力回復を可能とする手術方法(筋肉切離型・筋肉非切離型MIS-THA)が必要です。
  • 関節面には低磨耗素材(耐磨耗ポリエチレンやセラミック)を有する長期耐久性が期待できるチタン合金やコバルトクロム合金製の人工関節を使用しています。
    (2) CTデータを解析し患者様の骨の形状にマッチした最適の人工関節を選択します。(人工股関節三次元術前計画システム)。 より安全で正確なTHAを施行するには、立体的に股関節を評価しインプラントの種類とサイズを術前に選択できるTHA3次元術前計画システムが不可欠です。本システムを導入している医療機関は全国でも数少ないのが現状です。
  • THAではリハビリを含めて術後約3週間で退院可能で、リハビリ通院もほとんどの場合で不要です。THA術後は自転車・正座・蹲踞・軽いスポーツなども特別な場合を除いて制限していません。
    (3) CTデータを3次元に解析し、その手術計画どおりに人工股関節を正確に挿入する技術を導入しました(ナビゲーションシステム)。手術計画を綿密に立てて、計画どおりの正確に挿入することが術後の合併症や人工股関節の耐久性に関わります。そのためナビゲーションシステムを導入しました。
(1)低侵襲人工股関節置換術(MIS-THA)
従来は人工股関節手術(THA)には20~25cmの皮膚切開が必要でした。さらに筋肉の切開範囲も大きくなり、股関節の周囲組織(筋肉・靱帯や関節包など)も取り除かれてしまうため、手術侵襲(体への負担)が大きくなっていました。つまり、切開部位や切除部分が大きいため術後の痛みも増え、筋力低下や筋力回復の遅れなどが目立ち、杖がなかなか外せない、社会復帰に時間がかかることがしばしばでした。
近年、人工股関節や使用器具の進歩により低侵襲技術(MIS)でTHAが可能となっています。もちろん内視鏡・腹腔鏡・関節鏡のように1~3cmの非常に小さい皮膚切開で人工股関節を挿入することは困難ですが、8~10cmの小さい皮膚切開で人工股関節を挿入することが可能となっています。この手術は皮膚や筋肉の切る範囲を少なくすることで手術侵襲(体への負担)を少なくし早期に社会復帰ができる“体に優しい低侵襲人工股関節手術(MIS-THA)”と呼ばれています。
1998年、アメリカの整形外科医から発表されたMIS-THAは現在全世界に急速に拡がっています。2002年末頃、本邦でもMIS-THAが施行されるようになりました。しかしながら、MIS-THAは手術の視野が制限されるため技術的難度が高く、未だ数少ない施設でのみ行なわれているのが現状です。
MIS-THAが提唱された当初、小さい皮膚切開により人工股関節を適切な角度に挿入することは困難であり、“曲芸的な離れ業”あると考えられていました。しかし現在では、技術の進歩と術者の熟達によりMIS-THAの経験が豊かな外科医にとっては“曲芸的な離れ業”ではなくなりました。つまり熟達した関節外科医であれば短い手術時間で適切な角度に人工股関節を挿入することが可能となっています。
2000年以降、MIS-THAの成績は多く報告されてきました。本手術の効果、安全性、信頼性、早期社会復帰に関する良好な成績の報告も多数見られています。
現在、MIS-THAの成績をさらに向上させるため、股関節に到達する方法(進入法)も様々なものが提唱されています。
当初は従来法と同じく筋肉を切り離して股関節に到達する進入法(筋肉切離型)でした。しかし、2004年、筋肉を切り離さずに股関節に到達する筋肉を温存できる進入法(筋肉非切離型・筋温存型)が発表されました。
このようにMIS-THAは、小さい皮膚切開の技術から筋肉を切り離さない技術へと進歩してきています。
当院におけるMIS-THAの特徴
筋肉切離型MIS-THAの特徴
1)8-10cmの小さな皮膚・筋肉切開で後方より股関節に進入して手術を行ないます。
2)人工股関節挿入後、筋力の早期回復のために切離した関節包と筋肉を一塊として、それらの組織が本来付着していた大転子という骨に強固に縫着します。

筋非切離型(筋温存型)MIS-THAの特徴
1)8-10cmの小さな皮膚・筋肉切開で前方より股関節に進入して筋付着部を切離せずに筋間を分けて股関節に到達して手術を行います。
2)新たに開発した手術器具により筋腹を損傷しないようにして人工股関節を挿入します。
3)人工股関節挿入後、進入の際に分けた筋膜を縫合して終了します。
我々は、2003年初めに全国でも極めて早く筋切離型MIS-THAを導入しました。MIS-THA専用手術器具の開発・三次元人工股関節術前計画の併用・筋温存(非切離)型MIS-THAの導入などによりMIS-THAの向上に努めてきました。その結果現在では、本邦のMIS-THAを第一線で牽引するようになっています。
現在まで1000例以上のMIS-THAを施行してきました。すべての患者様が大きな合併症もなく順調に回復され、入院期間は約3週間前後で早期に社会復帰されています。MIS-THAの手術成績は日本整形外科学会、日本股関節学会、日本人工関節学会などに発表しています。
(2)人工股関節三次元術前計画システム
当股関節外科では術前にCTの3次元(立体的)データ-を解析し、術前の股関節の形態をコンピューター上で立体的に再現し解剖学的に評価した上で、人工股関節の立体的データと骨のデータをコンピューター上で重ね合わせるシステムを導入しています。
それにより患者様に最適な人工股関節の種類とサイズを術前に決定できます。その結果、手術の進行を想定しやすくなり術中・術後の合併症(人工関節の設置角度不良、術中骨折、術後脱臼など)を最小限にすることができます。(他の施設ではトレーシングペーパーに2次元(平面的)に作図して人工股関節の術前計画を立てているのが現状です)
このシステムを当院のMIS-THAに組み合わせることで、患者様のニーズにより的確にお答えできるTHAが可能と考えています。
近い将来、本術前計画システムを用いた人工股関節手術ナビゲーション(コンピューター支援手術)を導入する予定です。
(3)人工股関節ナビゲーションシステム
人工股関節置換術後の成績を左右する要素には、患者さんの骨の形や質、人工股関節の種類、材質、デザイン、挿入の仕方などたくさんあります。人工股関節の材質やデザインが進歩してより良いものが開発されても、挿入の仕方を間違えればその良さは台無しになります。
具体的には、人工股関節を骨のどの位置に、どのサイズのものを、どの角度で挿入するかが、脱臼などの合併症の頻度や人工股関節の耐久性に影響します。
熟練した医師であっても、毎回同じ位置、同じ角度で挿入することは困難です。角度で言えば、せいぜい5度~10度程度の範囲内に収めるのが精一杯です。かつてはその5度~10度の範囲内に収まっていれば安全と考えられていましたが、最近の研究では、実際の安全域はもっと狭いことが分かってきました。
医師の技術だけでは解決が難しい部分を、コンピューターの力を借りて補うものの一つに、「ナビゲーションシステム(図4)」があります。車のナビゲーションと原理は同じです。自分の車が今どこに居て、目的地に到達するためにはどのように進めば良いかを示してくれるわけです。人工股関節の手術中に、今、人工股関節がどこにあって、どのように方向に挿入したら予定した位置・角度に挿入できるかということをコンピューター画面上に表示してくれます(図5)。
このシステムを利用すると、あらかじめ準備した3次元術前計画どおりに人工股関節を挿入することができます。ナビゲーションシステムは先端技術であり、実用化されてからまだ日は浅いものの、脱臼の危険性や合併症の頻度が減少するなどの効果が証明されています。人工股関節を正確に挿入するということは、その耐久性にも良い影響を与えるため、20年~30年後にはナビゲーションを使って正確に挿入された人工関節は長持ちしやすいことが証明されると予想しています。

ナビゲーションシステムについてはこちら  

関連業績

1) 中田活也ほか:テーパーウェッジ型ステムにおける骨反応は髄腔形状により異なるのか?
(第85回日本整形外科学会学術総会, 2012)
2) 中田活也ほか:テーパーウェッジ型ステム周囲の骨反応は
初期固定様式により異なるのか? (第42回日本人工関節学会, 2012.2)
3) 中田活也ほか:MIS-THAの合併症 (関節外科, 2012)
4) 中田活也ほか: THA・MIS (整形外科 治療と手術の合併症, 2011)
5) Nakata K. et al.: A clinical comparative study of the direct
anterior with mini-posterior approach.  (J Arthroplasty, 2009)
図1 筋切離型MIS-THA 図2 筋温存型MIS-THA 図3 三次元術前計画システム
図4 ナビゲーションシステム 図5 ナビゲーションのコンピューター画面

最終更新日:2014年10月27日
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