早期乳がんに対する新たな治療「ラジオ波焼灼療法」を開始しました
ラジオ波焼灼療法(RFA)について
がんの中に細い針状の電極を差し込んでラジオ波帯の電流を流し、発生する熱を 利用し、がんを凝固・焼灼し、死滅させる治療法です。
対象は腫瘍径1.5 ㎝以下の単発、触診及び画像診断による腋窩リンパ節転移及び遠隔転移を認めない限局性早期乳癌の患者さんです。 |
ラジオ波から発生する70~100度の熱で腫瘍を含めた3~4センチの範囲が球形~楕円形に焼灼されます。熱を加える時間は5~10分ほどです。 |
乳がんのラジオ波焼灼療法のメリットは、乳房を切らないため 傷は針穴のみの数mm程度で目立たず、乳房の変形も少ないことです。 |
乳房部分切除術よりも低侵襲で治療が可能で、5年同側乳房内無再発生存割合は乳房部分切除術と同等であり、新たな乳がんの治療選択肢となりました。
合併症は熱傷や皮膚感染。硬結やひきつれが残ることがあります。
治療は入院の上、全身麻酔で行います。
わきのリンパ節に対するセンチネルリンパ節生検を先に行い、引き続きラジオ波焼灼療法を開始します。
超音波画像で確認しながら電極針が腫瘍の中心を通るように穿刺します。
手術時間は1~1.5時間程度、入院は4~5日間です。
費用は3割負担の場合、入院費などを含めておおよそ15~16万円です。
保険診療で、この治療が可能なのは、日本乳癌学会よりラジオ波焼灼療法の 術者認定を受けた乳腺専門医が所属する施設に限定されています。 当院は2024年7月にラジオ波焼灼術が可能な施設に認定されました。 |
手術後は、乳房部分切除術の場合と同様に放射線治療を受けていただきます。
また、通常の手術の場合と同様に個々の患者さんに応じて、標準治療とされるホルモン療法や化学療法を行います。
放射線治療終了後3ヶ月を目途に造影MRI検査と超音波検査を行い、治療部位より吸引式針生検を用いて組織を採取し、顕微鏡レベルでがんが残存していないかを確認します。
がんの残存が認められた場合は外科的切除を行います。