独立行政法人 地域医療機能推進機構 大阪病院

診療科のご案内

脊椎外科センター

Shota_Takenaka
武中 章太
たけなか しょうた
役職
整形外科部長(脊椎外科担当)
経歴
2002年3月 大阪大学卒業
専門分野
脊椎外科
低侵襲脊椎手術
資格
医学博士
最小侵襲脊椎治療学会(MIST学会)評議員
日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会 脊椎脊髄病医
日本脊椎脊髄病学会 脊椎脊髄外科指導医
日本整形外科学会
 脊椎内視鏡下手術・技術認定医
脊椎脊髄外科専門医
BKP(バルーン椎体形成術)認定医
XLIF(腰椎側方椎体間固定)認定医
OLIF(腰椎側方椎体間固定)認定医
医学系臨床実習前OSCE認定評価者

特徴

超高齢社会の到来や生活習慣の欧米化に伴い、様々な病気を合併した加齢による脊椎疾患の患者さんが特に増え続けていますので、脊椎疾患のみでなく患者さん全体やその背景までを含めたテーラーメイドの全人的医療を提供すべく、最大限の努力をしています。

診療内容

●頚椎・胸椎・腰椎の変性疾患(脊柱管狭窄症、すべり症、椎間板ヘルニア、脊柱靭帯骨化症など)、脊柱変形(骨粗鬆症性椎体圧壊に伴う後側弯変形や変性後側弯症など)、炎症性疾患(化膿性脊椎炎など)、脊髄髄内腫瘍を除く腫瘍性疾患等ほぼすべての脊椎疾患に対応しています。

●低侵襲手術としてCBTスクリュー法を用いた腰椎固定術や側方進入椎体間固定術(LIF)を行っており、頚椎後方固定術や脊柱変形矯正固定術などの高難度手術では、ハイブリッド手術室にてリアルタイムに術中CT撮影ができるため、より正確かつ安全な脊椎手術が可能となっています。

胸椎椎体圧壊後の重度後弯変形に対する後方矯正固定術

胸椎椎体圧壊後の重度後弯変形に対する後方矯正固定術


診療実績

診療実績(2020年度)  
主な手術実績
総数 431
頚椎椎弓形成術 53
腰椎除圧術(開窓術、椎弓切除術) 84
後方経路腰椎椎体間固定術(PLIF) 151
内視鏡下腰椎手術(MED、MEL) 38
成人脊柱変形矯正固定術 8

詳細について

脊椎外科開設にあたって

60年の長きにわたる歴史を有する大阪厚生年金病院は2014年4月にJCHO大阪病院と名称を変更し、2015年5月には新病院が竣工されました。新病院への移転に伴い、より高度で専門的な脊椎外科診療を行うべく2015年4月より脊椎外科センターを開設致しました。当院脊椎外科クリニックは旧大阪厚生年金病院時代から続く伝統あるクリニックであり、大阪市だけでなく全国から多くの患者様が来院されています。頚椎症性脊髄症、頚椎椎間板ヘルニア、頚椎後縦靱帯骨化症、腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、腰椎すべり症などは非常に頻度の高い疾患で、超高齢化社会の到来にともない、こういった脊椎脊髄疾患に苦しまれる患者様は年々増えておられます。また、変性側弯症や椎体骨折等の脊柱変形による”腰曲がり”で苦しまれる患者様も同様に増加していくものと予想されます。脊椎外科の役割はますます大きくなっていると言えるでしょう。

当脊椎外科センターではまず服薬やコルセット等による保存療法を試み、どうしても症状の取れない方に手術を行います。頚椎・腰椎における神経の除圧術や、脊椎インプラントを用いた固定術などを中心に年間500-600件の手術を行っており大阪府内では最も多く、日本でも有数の手術件数となっています。治療を担当するのは日本脊椎脊髄病学会から指導医の認定を受けた5名の脊椎外科専門医を中心としたスタッフです。手術室や病棟のスタッフも脊椎外科の専門的な治療、ケアに習熟していますので安心して治療を受けていただけます。また高血圧・糖尿病などの生活習慣病に代表される内科的疾患の既往がある患者様には手術前後の全身管理に専門的治療が必要となることも少なくありません。当センターでは内科をはじめとする他科との連携を密にとることで、心臓病や糖尿病、透析等の既往がある方でも安心して手術を受けていただける環境が整っております。内視鏡的治療、顕微鏡的治療も積極的に取り入れていますが、その長所短所を見極めて従来法と使い分けることでよりより安全で確実な治療を行うことができています。さらに従来は非常に高侵襲・高リスクであった変性側弯症等の脊柱変形に対する手術も、ハイブリッド手術室による術中CT(図1)や前方アプローチ(Lateral Interbody fusion: LIF)の導入により、なるべく侵襲を抑えて安全に行えるよう努めています

このように地域の皆様により良い高度専門治療が提供できるよう、努力していく所存ですので今後とも当院、脊椎外科センターをよろしくお願いいたします。

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図1 ハイブリッド手術室による術中CT
脊椎の変形が強い症例でも、スクリュー等の脊椎インプラントの位置を術中に正確に評価できるので、従来よりも安全に手術を行えます。

手術実績 / 対象疾患

対象疾患は腰椎頚椎椎間板ヘルニア頚椎症性脊髄症後縦靱帯骨化症腰部脊柱管狭窄症腰椎すべり症、リウマチ性脊椎炎、透析性脊椎病変、脊椎・脊髄腫瘍など多岐にわたり、ほぼすべての脊椎・脊髄外科疾患を守備範囲としています。 2014年 JCHO大阪病院 脊椎外科手術実績 総数 549件 頚椎疾患 115件 (前方固定術 7例 椎弓形成術 104例 後方固定術 4例) 胸椎疾患 13件 (椎弓切除術 10例 後方固定術 3例) 腰椎疾患 409件 (腰椎椎体間固定術 212例 開窓術 99例 髄核摘出術 19例 内視鏡手術 70例 その他 9例) その他(腫瘍など)12件

治療方針

内服薬やリハビリテーションなどの治療で症状が軽快せず、日常生活に困難を感じておられる患者様に手術療法を施行しています。 頚椎症性脊髄症に対しては主として後方より脊髄の通り道を拡大する椎弓形成術を適応しております。術後の肩こりや頚の痛みを低減できるよう術式の改良に取り組んでいます。

頚椎椎弓形成術

 

腰部脊柱管狭窄症に対しては除圧術(開窓術、椎弓切除術)を、すべり症に対しては金属製材料を用いた固定術を適応しています。術後の患者様の負担をより軽減すべく、術式の改良にも積極的に取り組んでおり、周術期の疼痛を軽減することに成功しています。

腰椎椎体間固定術 PLIF

腰椎椎間板ヘルニアに対しては、髄核摘出術(Love法)に加えて内視鏡下あるいは顕微鏡下で椎間板摘出術を施行しています。

内視鏡下髄核摘出術

脊椎手術では神経のそばで手術をおこなうため、重篤な神経合併症の発生が懸念されます。これを防ぐためには熟練した専門医師による安全確実な手術が前提となりますが、術中・術後の全身管理もまた非常に重要です。当院の脊椎手術数は全国でも有数の症例数であり、看護師、理学療法士なども術前後の管理に習熟しており、安心して手術を受けていただくことが出来ます。特殊な疾病でない限り手術翌日あるいは翌々日に離床可能であり、入院期間は1?2週間を原則としています。

関連業績

当院には開院以来永年にわたり脊椎手術を多数手がけてきた日本有数の脊椎クリニックとしての歴史があり、手術室や病棟のスタッフの知識・技術も高く安心して治療を受けていただける環境が整っています。診療の傍ら学術活動にも注力しております。研究内容は多岐にわたっており、頚髄症に起因する手指麻痺の解析、頚髄症に対する低侵襲手術の開発、合併症の予防、腰椎手術における合併症対策、低侵襲術式の効果、病態の解明などが挙げられます。今後も国内外に臨床・学術両面で情報を発信できるよう日夜、研鑽を続けております。 関連業績(海外論文のみ抜粋)

  1. Ikegami D, et al. Preoperative retrolisthesis as a predictive risk factor of reoperation due to delayed-onset symptomatic foraminal stenosis after central decompression for lumbar canal stenosis without fusion. (Spine J, 2017)
  2. Takenaka S, et al. Clinical Outcomes After Posterior Lumbar Interbody Fusion: Comparison of Cortical Bone Trajectory and Conventional Pedicle Screw Insertion. (Clin Spine Surg. 2017)
  3. Takenaka S, et al. Differences in the time of onset of postoperative upper limb palsy among surgical procedures: a meta-analysis. (Spine J. 2016)
  4. Takenaka S, et al. Significant reduction in the incidence of C5 palsy after cervical laminoplasty using chilled irrigation water. (Bone Joint J. 2016)
  5. Takenaka S, et al. Preoperative retrolisthesis as a risk factor of postdecompression lumbar disc herniation. (J Neurosurg Spine. 2016)
  6. Takenaka S, et al. Major surgical treatment of osteoporotic vertebral fractures in the elderly: a comparison of anterior spinal fusion, anterior-posterior combined surgery and posterior closing wedge osteotomy. (Asian Spine J. 2014)
  7. Takenaka S, et al. Neurological manifestations of thoracic myelopathy. (Arch Orthop Trauma Surg. 2014)
  8. Takenaka S, et al. Vertebral osteolytic defect due to cellulose particles derived from gauze fibers after posterior lumbar interbody fusion. (J Neurosurg Spine. 2014)
  9. Takenaka S, et al. Major surgical treatment of osteoporotic vertebral fractures in the elderly: a comparison of anterior spinal fusion, anterior-posterior combined surgery and posterior closing wedge osteotomy. (Asian Spine J. 2014)
  10. Mukai Y, et al. Intramuscular pressure of the multifidus muscle and low-back pain after posterior lumbar interbody fusion: comparison of mini-open and conventional approaches. (J Neurosurg Spine. 2013)
  11. Hosono N, et al. Postoperative 24-hour result of 15-second grip-and-release test correlates with surgical outcome of cervical compression myelopathy. (Spine. 2012)
  12. Hosono N, et al. Potential risk of thermal damage to cervical nerve roots by a high-speed drill. (J Bone Joint Surg Br. 2009)
  13. Hosono N, et al. Perioperative complications of primary posterior lumbar interbody fusion for nonisthmic spondylolisthesis: analysis of risk factors. (J Neurosurg Spine. 2008)

最終更新日:2023年12月18日

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