呼吸器外科
たかはま まこと
- 役職
- 呼吸器外科診療部長
- 経歴
- 1991年 奈良県立医科大学医学部卒業
- 専門分野
- 胸腔鏡下手術
局所進行肺癌に対する拡大手術
気道再建術
ロボット支援下手術
硬性気管支鏡による気道拡張術,ステント留置術
縮小手術
- 資格
- ●日本外科学会指導医・専門医
●日本呼吸器外科学会指導医・専門医
●日本胸部外科学会認定医
●da Vinci console surgeon,日本呼吸器外科学会ロボット支援手術プロクター
●緩和ケア研修修了
診療科の特徴
診療対象疾患は肺縦隔領域の外科全般です。当院は大阪府がん診療連携拠点病院として癌治療に関する高度な医療を提供する責務を担っています。2024年4月より診療部長として高濱 誠が着任しました。
疾患の中で最も多い肺癌に対しては,原則として完全胸腔鏡下もしくは胸腔鏡補助下(小開胸併用)により,皮膚切開を小さくし筋肉をほとんど切開しない手術を行っており,術後のQOL改善や早期社会復帰に努めています。3cm以下の小型肺がんに対しては,全例で肋骨の間を広げずモニター視のみで行う完全胸腔鏡下手術を施行しており術後5〜10日程度で退院可能です。また気管支形成,血管形成術を駆使した肺機能の温存に努める手術を積極的に行っております。
局所進行肺癌に対しては、総合病院の強みを生かして他科(心臓血管外科,消化器外科,整形外科,耳鼻咽喉科など)との連携の下に,他病院では手術困難とされる方でも積極的に各種拡大手術療法を行っております。また当初切除不能と判断された進行癌の方でも,抗癌剤と放射線治療を行ない腫瘍の縮小を図った後に手術を行う術前導入療法も取り入れ癌の根治に努めています。
癌,肉腫や結核などによる気管,気管支の狭窄に対しては硬性気管支鏡を使用し,24時間救急対応での気管拡張術,ステント留置術などの治療を行っています。
また学会においては,診療部長の高濱 誠の手術手技に対して高い評価を頂いており,その手術手技については日本呼吸器外科学会,日本胸部外科学会,日本外科系連合学会のホームページで紹介されています。
診療方針
呼吸器外科は呼吸器(肺・気管)、縦隔、胸壁・胸膜、横隔膜等の腫瘍、炎症、先天異常などの外科的治療を行います。手術療法は患者に大きな負担を与え合併症を伴う可能性がある治療法です。このため手術適応の決定は慎重でなくてはならず、最終的な診断・治療方針決定は、呼吸器外科、呼吸器内科、放射線治療科、薬剤部で構成されるカンファレンスで行っています。また治療に当たっては術前に詳細な説明を行い、患者とその御家族に治療の目的・方法・効果・危険性を十分に理解していただいています。
治療対象、ことにその主体となっている肺癌の手術を行うに当たっては、入院から退院までは肺癌手術用のクリニカルパスを使用し効果的・効率的な医療を実施します。病状によっては抗癌化学療法、放射線療法を加えた集学的治療が必要となりますが、この場合は呼吸器内科、放射線治療科と密接に連携をとってそのスケジュールを迅速に決定し、かつ正確に施行します。また入院患者に関しては回診、症例検討会などで医師スタッフ,看護師,理学療法士など医療者の情報共有化を図り、常に各患者の状態を把握できるように留意しています。
肺癌以外の疾患に対しても、これら迅速・確実な治療を行うことは全く同じです。
診療実績(2024年度)
2024年4月1日に高濱が着任以後,手術症例数は前年比200%以上に増加し,2024年7月〜12月で73例でした。緊急手術症例は麻酔科,手術センターおよび集中治療部と連携を行い,積極的に受け入れを行なっております。
診療実績(2023年度)
手術実績 | 件 |
原発性肺悪性腫瘍 | 35 |
部分切除 | 28 |
葉切除 | 14 |
試験開胸 | 0 |
良性肺腫瘍 | 0 |
転移性肺腫瘍 | 7 |
縦隔腫瘍 | 4 |
気胸 | 16 |
炎症性肺疾患 | 0 |
その他の呼吸器手術 | 1 |
全身麻酔下生検 | 0 |
全身麻酔下手術・生検総数 | 70 |
主な診療疾患
原発性肺癌,転移性肺腫瘍,良性肺腫瘍,縦隔腫瘍,悪性胸膜中皮腫,胸膜腫瘍,胸壁腫瘍,横隔膜弛緩症,横隔膜腫瘍,悪性腫瘍もしくは良性疾患による気管・気管支狭窄,気管・気管支軟化症,気胸,膿胸,肺動静脈瘻,肺分画症,成人先天性肺疾患など
地域医療機関の先生方へ
外来診療ではホームドクターの先生方との連携を強化し専門診療を行っています。また地域連携パスの導入により,地域医療機関の先生方と更に連携を密にし,情報の共有によるより質の高い医療の提供を目指します。当科では,疾患の緊急性・重要性を鑑み予約診察のみならず随時紹介,受診をして頂くことが可能です。時間外でもご遠慮なくご連絡下さい。
ご紹介
呼吸器内科との密接な連繋の下に、呼吸器疾患を有する患者さんの診断と治療、そして研修医への一貫した教育と指導をおこなっています。患者さんへは、「丁寧で分かり易い説明」、を第一に心掛けています。
原発性肺がん、転移性肺腫瘍、肺良性腫瘍、縦隔腫瘍や胸壁腫瘍などの胸部腫瘍性疾患を中心に、自然気胸、嚢胞性肺疾患(ブラ)および一部の炎症性疾患を治療対象としています。
特徴および実績
2013年1月から2015年12月までの3年間で、全身麻酔下手術は153例です。対象疾患は、原発性肺がん73例、転移性肺腫瘍19例、縦隔腫瘍9例、気胸・嚢胞性肺疾患26例となっています。
肺がんに関しては、基本的には肺癌診療ガイドラインに則った治療をおこなっております。I期症例に対しては、胸腔鏡補助下手術を心掛けています。III期症例に対しては、必要ならば縦隔鏡検査をおこない、呼吸器内科や放射線科との協力の下、術前放射線療法・化学療法後に手術をおこなう場合もあります。IA期で腫瘍径が2cmを超える場合、およびIB期以上の症例では、呼吸器内科と検討の上、術後補助化学療法を適宜おこなっております。
2001年1月から2010年12月までに切除した非小細胞肺癌290例(R0またはR1)の術後5年生存率は、IA期82.4%(125例)、IB期76.1%(66例)、IIA期62.5%(27例)、IIB期23.8%(21例)、IIIA期32.4%(47例)です
その他
慢性腎不全、糖尿病、整形外科疾患等の重症合併症を有する症例に対しても、他科と協力して安全な診療に心掛けています。
大阪大学関連病院として、共同研究に積極的に参加しています。
最終更新日:2024年12月20日