免疫内科
免疫内科のご紹介
当院では、2023年4月から常勤医1名が着任し、従来の膠原病内科から新しく免疫内科と名前を変えて新たにスタートいたしました。従来の外来診療に加えて患者さんの入院加療もできるようになり、より手厚い医療サービスの提供を行っています。
年々増加しつつあるアレルギー・免疫疾患について
近年、アレルギーや免疫の病気にかかる人は年々増加しています。自己免疫疾患の多くは国が指定する指定難病に登録されていますが、これらの認定患者数(特定疾患医療受給者数)は年々増加傾向にあります。また、関節リウマチは日本全体の約0.5%(200人に1人)がかかっていると言われており、これはてんかんの患者さんと大体同じです。決して稀な病気ではありません。さらに、厚生労働省が約2万人を対象としたデータによると花粉症を含むアレルギー性鼻炎の有病率は1998年には29.8%でしたが、2019年には49.2%であり20年間で約1.7倍になっています。このような傾向の背景には衛生環境の向上や食事・ライフスタイルの変化、啓蒙活動による疾患認知度の上昇などが考えられますが、いずれにせよこれらの患者数は増加傾向にあります。
免疫内科はどのような病気を治療しているの?
当科では、主に関節リウマチや膠原病(全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群など)などの自己免疫疾患や、花粉症やアレルギー性鼻炎、気管支喘息などのいわゆるアレルギー性疾患の診療にあたっています。自己免疫疾患とは、本来細菌やウイルスなどの外からの異物を体から追い出す人体のシステムが正常に作用せず自分の細胞に対して過剰反応した結果、様々な症状が起こる病気の総称です。アレルギーはⅠ型、 Ⅱ型、Ⅲ型、Ⅳ型まで4つに分類されます。日常生活でよく使われている「アレルギー」という言葉は、主にⅠ型(気管支喘息、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、花粉症、アレルギー性鼻炎、アナフェラキシーショックなど)やⅣ型(接触型皮膚炎、いわゆるかぶれ)のことを指しますが、Ⅱ型・Ⅲ型アレルギーに属する病気の中に関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患が多く含まれます。
関節リウマチ
関節を包んでいる滑膜という部分に炎症が起こり、進行すると周辺の軟骨や骨が破壊される病気です。日本では推定50万人から100万人の患者さんがいると言われています。一部の患者さんでは関節外の臓器にも症状が出現することがあり、それらに対しては多面的なアプローチが必要になります。
http://www.imed3.med.osaka-u.ac.jp/disease/d-immu02-1.html
(大阪大学大学院医学系研究科 呼吸器・免疫内科学 免疫疾患の解説より)
その他、以下のような疾患が対象となりますが、不明な場合もお気軽にお問い合わせください。
全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、多発性筋炎・皮膚筋炎、全身性強皮症、血管炎症候群、不明熱、骨粗鬆症、リウマチ性多発筋痛症、RS3PE症候群、結晶性関節炎(痛風・偽痛風)、強直性脊椎炎、関節症性乾癬、 SAPHO 症候群、反応性関節炎、免疫介在性壊死性ミオパチー、封入体筋炎、混合性結合組織病、抗リン脂質抗体症候群、ベーチェット病、成人スティル病、再発性多発軟骨炎、キャッスルマン病、TAFRO症候群、高安動脈炎、巨細胞性動脈炎、結節性多発動脈炎、顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、IgA 血管炎、蕁麻疹様血管炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、IgG4 関連疾患、好酸球増多症、血管性浮腫、免疫チェックポイント阻害薬による免疫関連有害事象(関節炎等)など |
関節リウマチや膠原病の病気はどの病院でもみてもらえるの?
関節リウマチは整形外科もしくは免疫内科(リウマチ膠原病内科とも言われます)で診療されることが多いですが、膠原病などの病気は免疫内科の専門分野です。厚生労働省 「医療施設調査」によると大阪の病院数は2020年時点で512施設ですが、2022年度の日本リウマチ学会が認定する専門教育施設でリウマチ・膠原病内科の両方を標榜しているのは当院を含めて39施設(7.6%)とまだまだ少ないのが現状です。また、関節リウマチや膠原病の患者さんは様々な臓器に症状を来たすことが多く、昨今の高齢化に伴い様々な持病をお持ちの患者さんが増えてきています。そのため、免疫内科で扱う病気だけでなく、それらのコントロールも含めた総合的な内科マネージメントが必要となるため、その意味で免疫内科(リウマチ膠原病内科)は専門性が高く、現状では診療できる病院は一部に限られています。
どのような治療を行うの?
過剰反応している自分の免疫システムを沈静化するため、治療は免疫抑制療法が中心となります。具体的にはステロイドホルモン製剤を投与することが多いですが、近年様々な新薬の登場によりステロイド以外にも選択肢が増えたことで、ステロイドによる副作用を可能な限り低く抑えながら同時に病気の活動性を抑えることが可能になってきました。 |
関節リウマチの早期診断図のため 関節超音波検査も積極的に行なっております |
他科との連携について
リウマチ・膠原病の患者さんは、免疫システムの異常により発症するため時として全身のあらゆる臓器に病変を来たすことがあります。当院では豊富な診療科が揃っているため、免疫内科が主軸となって全身を管理すると同時に、各臓器の専門科と常に連携しながら患者さんの診療にあたらせていただきます。免疫内科を専門としつつも、各診療科との橋渡しとなる膠(にかわ)のような存在になりたいと思っております。
リウマチ・膠原病の患者さんは様々な症状で発症するため、診断に至るまで時間を要する場合も多いです。以下のような症状がある場合にはお気軽に当科までご相談ください。当科の領域の疾患でなくとも、診察後に適切な診療科に迅速に紹介させていただきます。
熱が下がらない、関節や筋肉の痛みが治らない、手足がむくんで痛い、口や眼が乾く、口内炎が治らない、中耳炎や副鼻腔炎(ちくのう症)が治らない、咳や痰・息切れが続く、目が痛い・眩しい・視力が急に低下した、耳鳴りが治らない・耳から膿が出てきた、寒くなると指先が白くなったり青くなったりする、尿が泡立ったり色が変わったりする、手足のしびれが続いている、蕁麻疹がよく出る、足に赤い斑点ができる |
最終更新日:2024年04月03日