内視鏡センター
やまもと かつみ
- 役職
- 内視鏡センター長
- 経歴
- 1995年 防衛医科大学校卒業
2005年 大阪大学大学院修了
- 専門分野
- 内視鏡診断・内視鏡治療
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
- 資格
- ●日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
●日本消化器病学会専門医・指導医
●日本消化管学会胃腸科専門医・指導医
●日本内科学会認定医・総合内科専門医
●日本がん治療認定医機構がん治療認定医
特徴
がんの内視鏡診断、治療に特に注力しており、技術的難易度が高いとされる、早期胃がんや、早期大腸がん、表在食道がんに対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は困難例にも対応しています。
通常の上部内視鏡検査、下部内視鏡検査、大腸ポリペクトミーなどは勿論、拡大内視鏡検査や超音波内視鏡検査などの精査内視鏡なども多数例に行っており、苦痛なく内視鏡検査・治療を受けていただくため、鎮静剤を積極的に使用しています。
診療内容
上部消化管内視鏡(経鼻内視鏡を含む)、下部消化管内視鏡、胆膵内視鏡、超音波内視鏡(EUS)、カプセル内視鏡検査、ダブルバルーン小腸内視鏡検査、気管支鏡、胸腔鏡、超音波気管支鏡などの検査手技だけでなく、内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)、総胆管結石破砕術・乳頭切開術、消化管止血術、食道静脈瘤結紮術・硬化療法、胃瘻増設術、消化管狭窄バルーン拡張術・ステント留置術、EUS下ドレナージ術などの内視鏡治療など、内視鏡を用いた検査・治療の幅広い領域を扱っています。呼吸器領域においては、局所麻酔下胸腔鏡、超音波気管支鏡といった最新の検査も行っています。
診療実績
診療実績(2023年度) | |
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主な実績 | 件 |
上部消化管内視鏡検査 | 5,424 |
下部消化管内視鏡検査 | 2,649 |
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD) | 235 |
内視鏡的粘膜切除術(EMR) | 846 |
逆行性胆管膵管造影(ERCP) | 231 |
気管支鏡検査 | 149 |
ご紹介
最近の内視鏡医療技術、医療機器の発達に伴い、当院では平成11年7月より内視鏡センターを開設し、時代のニーズにあった消化器内視鏡診断および治療に取り組んでおります。
たとえば、
●上部消化管検診(人間ドック)
●大腸癌検診(便潜血)陽性の方の2次精査
などにおける、通常内視鏡検査はもとより、
●特殊内視鏡検査(色素・超音波(EUS)・拡大・特殊光(NBI)内視鏡)
など、補助的な内視鏡検査に加え、
●早期胃癌、早期大腸癌、早期食道癌の内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
●早期大腸癌あるいは大腸ポリープの内視鏡的粘膜切除術(EMR)
●消化管出血に対する内視鏡的止血術
●肝胆膵疾患に対する内視鏡検査・治療(ERCP・EUS)
などの、比較的高度な技術を要する内視鏡治療を積極的に行っております。
特徴
通常内視鏡検査に加えて、内視鏡診断に関し、色素内視鏡・超音波内視鏡・拡大内視鏡・特殊光(NBI)内視鏡などの特殊内視鏡検査にも対応できる、最新の内視鏡機器を導入し、早期癌の発見や、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)時などに必要な、より緻密な内視鏡診断を目指しております。また、画像ファイリングシステムの導入に伴い、即座に画像を見ながら患者様へ説明することや、ご紹介の先生方への画像のフィードバックが可能です。
また、検査の際の患者様の苦痛に配慮し、患者様がご希望される場合などに鎮静剤の投与を行っております。鎮静剤の使用を希望される場合は、あらかじめ、検査前に医師に申し出てください。また、鎮静剤を使用する場合、検査後約30分から1時間程度休んで帰っていただきますが、ふらつきなどの症状が出る場合があり、できればご家族の同伴をお願いしております。また、当日、車、バイク、自転車の運転はできませんので、ご家族に送迎いただくか、公共の交通機関を利用するなどして、ご来院ください。なお、希望されても、御年齢やお体の状態によっては鎮静剤の使用を見合わせる場合がありますので、ご了承ください。
内視鏡治療に関しては、特に、早期胃癌、早期大腸癌、早期食道癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)に積極的に取り組んでおります。早期胃癌に対するESDは、胃がん治療ガイドラインに基づき、臨床研究として、院内倫理委員会承認の上、外科とのカンファの中で適応を決めておりますが、2013年は年間約150例の治療実績があり、治療数では関西有数とされます。また、大腸腫瘍に対するESDも多数例施行しております。大腸は胃に比べて長い管腔を有し、内視鏡の操作性が悪い上、壁が薄く、穿孔を生じやすいため、特に高度な技術を要するとされていますが、独自に考案したクリップフラップ法(*)を用いるなど種々の工夫を行うことにより、安全性を高め、合併症が少なく、良好な治療成績が得られています。勿論、一般的な大腸ポリープに対しては、内視鏡的粘膜切除術(EMR)を多数例施行しています。
当院では、胃、大腸、食道を含め、大きな表在癌や、粘膜下層の線維化例、潰瘍瘢痕合併例など、治療難易度の高い症例についても、適応を検討した上でESDを行っており、比較的良好な治療成績が得られています。
尚、内視鏡的切除の適応がないと判断された消化器腫瘍に対しては、1991年以来当院外科で施行した3000例を越える内視鏡外科手術の経験を踏まえて、腹腔鏡下胃切除や腹腔鏡下大腸切除、等の低侵襲治療を積極的に行っております。
代表的な消化器内視鏡検査および治療の種類と受付方法
内視鏡検査を希望され、当院に直接来られる場合は、随時消化器内科受診をいただいた上、検査予約をおとり致します。
開業医の先生方からの御依頼の場合、事前に感染症(HBs抗原、HCV抗体、梅毒)のチェックを頂き、FAXおよび直接電話で検査予約可能です(感染症の有無が不明の場合は、当院で当日採血を行い、約1時間後には内視鏡検査が可能です)。地域連携室に連絡していただければ、ただちにFAXにてお返事いたします。
大腸内視鏡検査は、下剤の処方、飲み方の説明などがありますので、まず消化器内科受診して頂くようお願い申し上げます。
また、抗血栓薬(血をさらさらにする薬)には、抗血小板薬と抗凝固薬があり、それぞれ、検査・治療前に休薬していただくことがございます。
抗血小板薬(バイアスピリン、バファリン、パナルジン、プラビックス等)服用中の方は、休薬可能な場合、検査日の3-7日前よりの中止が必要となりますので、事前に内服薬の内容をお申し出いただくと、服薬中止時期をお知らせ致します。抗血小板薬の種類によっては、検査の際、休薬しなくてよいものもございますので、服薬内容をお申し出ください。また、かかりつけ医の先生にも服薬中止が可能かご確認下さい。
抗凝固薬(ワーファリン、プラザキサ、イグザレルト、エリキュース、リクシアナ等)は、原則として、検査前の休薬は必要ありません。ワーファリンについては、検査約1時間前にご来院いただき採血を行い、血液検査の結果が適正な範囲であれば、生検等の処置を行うこともあります。また、いずれの抗凝固薬も内視鏡治療を行う場合は、入院の上、ヘパリンに置換して治療を行っております。
上部消化管内視鏡検査
月曜日から金曜日の午前中に施行しております。
緊急時を除き、予約制です。検査当日は絶飲絶食にて御来院下さい。
ご紹介の場合は、FAXにて予約可能です。所定の用紙にご記入の上、地域連携室にFAX頂ければ、返信FAXにて予約日をお知らせします。
大腸内視鏡検査
月曜日から金曜日の午後に施行しております。
前処置の説明と投薬が必要ですので、消化器内科外来を受診頂くようお願い申し上げます。
超音波内視鏡検査
上部消化管では、細径プローブ(12MHzと20MHz)を使用して、早期癌の深達度診断、粘膜下腫瘍の質的診断などを、主に月・水・木曜日の午前中に施行しております。大腸超音波内視鏡検査も適宜施行しております。ご紹介の場合は、地域連携室にFAXにて予約可能です。
早期胃癌、早期大腸癌、早期食道癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
入院の上、施行しております。外来での術前検査にて、適応や切除範囲を決定し、約7日~10日間の入院となります。消化器内科受診をお願い申し上げます。
大腸ポリープに対する内視鏡的粘膜切除術(EMR)、ポリペクトミー
入院の上施行し、約2~3日間の入院となります。消化器内科受診をお願い申し上げます。
食道静脈瘤硬化術(EVLを含む)
入院の上、施行しております。消化器内科受診をお願い申し上げます。緊急時は、時間帯や全身状態によっては救急外来や内科外来で対応いたします。
上部消化管出血止血術(焼灼術、クリッピング、HSE局注、エタノール局注)
ご紹介の場合は、緊急処置ですので、地域連携室に電話していただければ随時対応いたします。時間帯や全身状態によっては救急外来や消化器内科外来で診察が優先される場合があります。
(*)当院消化器内科スタッフが執筆した主なESD関連の文献
● 「Clipフラップ法」. INTESTINE 17:88?90、2013.日本メディカルセンター
● 「ESDを容易にするための工夫」. 臨床消化器内科 29:161?169、2014.日本メディカルセンター
● 「各種先端フードの特徴と選び方」. スキルアップESD. 消化器内視鏡 26: 1412?1413、2014. 東京医学社
● 「クリップフラップ法」. スキルアップESD. 消化器内視鏡 26: 1426?1430、2014. 東京医学社
最終更新日:2024年11月11日