心臓血管外科
いちかわ はじめ
- 役職
- 院長特任補佐
- 経歴
- 1984年 大阪大学医学部医学科卒業
- 専門分野
- 心臓血管外科、先天性心疾患、成人先天性心疾患
- 資格
- ●外科専門医
●心臓血管外科専門医
●成人先天性心疾患専門医
●移植学会専門医
●埋め込み型補助人工心臓実施医
●小児補助人工心臓実施医
きたばやし かつきよ
- 役職
- 心臓血管外科主任部長
- 経歴
- 1997年 大阪大学医学部卒業
- 専門分野
- 成人心臓血管外科
- 資格
-
●医学博士
●日本外科学会専門医
●日本心臓血管外科専門医
●日本心臓血管外科専門医修練指導者
●日本胸部外科専門医・指導医
●日本血管外科専門医・指導医
●腹部ステントグラフト指導医
●胸部ステントグラフト指導医
●経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)実施医
特徴
循環器内科と密に連携を図りながら、ハイブリッド手術室の機能を活かしたステントグラフト内挿術、経カテーテル的大動脈弁置換術を行っています。2020年には日本循環器学会の弁膜症治療ガイドライン、大動脈疾患治療のガイドラインが揃って改訂され、さらに上記の低侵襲治療の適応が広がっていくものと考えられています。我々もハイブリッド手術室の機能をさらに活用することにより、より多くの患者さんに貢献できるものと考えています。
診療内容
●成人心臓血管外科全般
●大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル的大動脈弁置換術
●僧帽弁閉鎖不全症や大動脈弁閉鎖不全症に対する低侵襲心臓手術(MICS)
●心房細動に対する左心耳閉鎖術
●腹部大動脈瘤に対する腹部大動脈ステントグラフト内挿術
●胸部大動脈瘤に対する胸部大動脈ステントグラフト内挿術
●大動脈解離に対する開胸および血管内手術
●冠動脈疾患に対する冠動脈バイパス術
●急性心筋梗塞後機械的合併症に対する手術
診療実績
主な手術実績 | 件 |
手術総数 | 172 |
開心術 | 66 |
経カテーテル的大動脈弁置換術 | 20 |
ステントグラフト内挿術術 | 25 |
診療科紹介
JCHO大阪病院心臓血管外科では、2015年の新病院移転後、循環器内科との連携が強化されたことにより、徐々に手術症例数が増加しています。これまでもハイブリッド手術室の機能を活かしたステントグラフト内挿術、経カテーテル的大動脈弁置換術を行ってきました。2020年には日本循環器学会の弁膜症治療ガイドライン、大動脈疾患治療のガイドラインが揃って改訂されたことにより、さらに上記の低侵襲治療の適応が広がっていくものと考えられています。我々もハイブリッド手術室の機能をさらに活用することにより、より多くの患者様に貢献できるものと考えています。
また僧帽弁閉鎖不全症や大動脈弁閉鎖不全症についても、低侵襲心臓手術(MICS)の症例を重ねており、今後もそれぞれの患者さんに最適な治療を届けられるよう、また安定した手術成績を残せるよう努力を続けていきたいと考えております。
学会施設認定
三学会構成心臓血管外科専門医認定機構認定機関施設
日本胸部外科学会教育機関施設
胸部大動脈ステントグラフト内挿術(TEVAR)実施施設
腹部大動脈ステントグラフト内挿術(EVAR)実施施設
経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)実施施設
診療案内
弁膜症に対する外科治療
MICS AVRの術中写真
(手術室天井カメラと胸腔鏡の同時撮影画像)
僧帽弁閉鎖不全症に関しては従来から、可能であれば弁置換を行わず弁形成術を行っておりましたが、一昨年度より、僧帽弁手術のみ行う症例については右小開胸による低侵襲心臓手術(Minimal invasive cardiac surgery=MICS)を導入しました。これにより、人工心肺は使用しますが、術後の疼痛の軽減や早期のリハビリなどの効果が期待できるものと考えております。
大動脈弁疾患に関しても、従来行われてきた胸骨正中切開による大動脈弁置換術に加えて、手術方法の選択肢が広がりました。経カテーテル的大動脈弁置換術の施設認定を取得したことにより、手術リスクの高い患者さんには血管内からの治療が可能となりました(JCHO大阪病院心臓センターのページを参照ください)。また人工心肺を使用した手術でも僧帽弁手術と同様、可能な症例には右小開胸による大動脈弁置換術(MICS-AVR)を行う方針としています。用いる人工弁についても、縫合の必要がなく心停止時間の短縮が可能なSuturess valveが使用できる施設として認定を受けています。
また心房細動を合併している症例では、これまでもメイズ手術を行ってきましたが、血栓形成、脳梗塞の発症を予防するため、左心耳を確実に閉鎖することが可能な左心耳クリップ(Atriclip)を積極的に使用しております。
経カテーテル的大動脈弁置換術 (TAVI) |
低侵襲心臓手術(MICS) |
左心耳クリップ (センチュリーメディカル(株)提供) |
虚血性心疾患に対する外科治療
狭心症、心筋梗塞などの冠動脈疾患に対しては、心臓センターで十分に検討し経皮的冠動脈形成術より適していると判断された症例に冠動脈バイパス術を行っています。
患者さんの状態を考慮した上で、可能であれば人工心肺を用いない心拍動下冠動脈バイパス術(Off-pump Coronary Artery Bypass Grafting=OPCABG)を行っています。緊急手術、低心機能例など人工心肺を使用したほうが、リスクが低いと判断した際には、無理をせず人工心肺使用下にバイパス手術を行います。
また急性心筋梗塞後の機械的合併症である心破裂、心室中隔穿孔、僧帽弁乳頭筋断裂に対する緊急手術にも対応しております。慢性期の左室瘤や虚血性僧帽弁閉鎖不全に対しては左室形成術や僧帽弁形成術を行っております。
大動脈疾患に対する外科治療
2015年の新病院移転後、ハイブリッド手術室の機能を活かして大動脈疾患に対しては、ステントグラフト内挿術を積極的に行ってきました。
通常の大動脈瘤に関しては、胸部、腹部とも複数機種のステントグラフト実施医、指導医資格を取得しており、それぞれの動脈瘤の形状に合わせて最適なステントグラフトを使用できるようにしています。
大動脈分枝の距離が近い症例には上図のように分枝再建を併用してステントグラフトを留置しています。また分枝付きのステントグラフトが国内では認可されていませんが、可能なものには開窓型のステントグラフトを使用し可能な限り血管内からの治療ができるよう工夫しています。
また、それでも解剖学的な理由で開胸が必要となる患者様にも開胸手術用のオープンステントグラフトを用いるなどして可能な限り侵襲を軽減しています。
2020年度より大動脈治療のガイドラインが改訂されました。
A型の急性大動脈解離の症例に対しては従来通り、緊急での開胸手術が勧められています。一方、B型の大動脈解離については、合併症のあるものに加え、遠隔期に偽腔や大動脈径の拡大が予想される症例に対してもステントグラフト内挿術が推奨されており、これまでの降圧安静のみの治療より大きく進歩したと考えられています。
当院でもガイドラインを遵守し、救急疾患を含めそれぞれの患者様に適した治療を行えるよう努めております。
専門性の高い治療について説明できるよう2019年8月からは大動脈外来を火曜日の午後に設けました。
病状、治療についての質問がある方も、受診していただければ可能な限り説明させていただきます。
最終更新日:2024年07月17日