超音波内視鏡検査(EUS)による診断・治療について
超音波内視鏡検査(Endoscopic Ultrasonography: EUS)
超音波内視鏡検査(Endoscopic Ultrasonography: EUS)は、先端に超音波装置がついた内視鏡を用いて行う検査です。肝、胆道、膵臓、副腎、縦郭病変、消化管粘膜下腫瘍など様々な病変の評価が可能です。EUSは体表からの腹部超音波検査よりも病変へ近接できるため、消化管ガスや脂肪の影響が少なく詳細に病変の評価が可能です。膵腫瘍の描出においては、EUSはMRIやCTよりも検出能が良いともされています。
■ 膵癌症例
膵嚢胞フォロー中に主膵管の拡張出現を認めました。EUSで主膵管内に8mmの結節を認めたため、手術適応と判断しました。手術加療を行い、上皮内癌の診断でした。
EUSガイド下穿刺吸引針生検(EUS-guided fine needle aspiration: EUS-FNA)
専用の穿刺針を用いて病変を穿刺し病理診断に必要な検体を採取することをEUSガイド下穿刺吸引針生検(EUS-guided fine needle aspiration: EUS-FNA)といいます。膵腫瘍、消化管粘膜下腫瘍、腫大リンパ節などに対してEUS-FNAを行い、病理結果をふまえて治療方針を判断しています。
■ 膵癌症例
造影CTで膵尾部に16mmの乏血性腫瘍を認めました。EUS-FNAで検体を採取し、膵癌と診断しました。
■ 胃粘膜下腫瘍症例
15mmの胃粘膜下腫瘍を認めました。EUS-FNAで検体を採取しGIST(消化管間質腫瘍)と診断しました。
EUSガイド下ドレナージ術
胆管狭窄や感染性膵仮性嚢胞などの症例において、従来の経皮的や経十二指乳頭的なドレナージ治療が困難であったり、十分なドレナージの効果が得られない症例に対しては、EUSおよび穿刺針を用いて胃内や十二指腸内からドレナージチューブを留置するEUSガイド下ドレナージ術も行っています。
■ EUSガイド下嚢胞ドレナージ症例
膵炎により膵尾部に感染性仮性嚢胞を合併しました。EUS下に経胃的に仮性嚢胞を穿刺し、胃内にドレナージチューブ(プラスチックステント)を留置しました。術後、仮性嚢胞は縮小し、感染も改善しました。
■ EUSガイド下胆道ドレナージ症例
膵頭部癌による胆管閉塞・黄疸を認めました。癌により十二指腸の狭窄も認めており、経十二指腸乳頭からの胆管ドレナージは困難でした。EUS下に経胃的に胆管を穿刺し、胃内にドレナージチューブ(プラスチックステント)を留置しました。術後、黄疸は改善しました。
当院では以前よりEUSを行ってきましたが、2022年4月以降は検査枠を増やして膵腫瘍が疑われる症例を中心に積極的にEUS検査を行っています。糖尿病新規発症2年以内、糖尿病増悪、膵嚢胞や主膵管拡張を指摘されたことがある、膵酵素上昇やCEAやCA19-9といった腫瘍マーカー上昇があるなどの膵癌の高リスクの方や消化管粘膜下腫瘍のある方などは当院へご相談ください。
最終更新日:2023年11月05日