緩和ケア
特徴
がんの患者さんは、がんそのものの症状のほかに、痛みなどのさまざまな身体症状や、落ち込み、悲しみなどの精神的苦痛を経験します。緩和ケアとは、生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者とその家族のQOLを、痛みやその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題を早期に見出し的確に評価を行い対応することで、苦痛を予防し和らげることを通して向上させるアプローチです。緩和ケアに対して終末期医療を連想される方もおられると思いますが、緩和ケアはがんの診断時から開始され、治療中や治療終了後、終末期を通じて行われる医療として考えられています。
診療内容
緩和ケア外来では、がん治療中あるいはがん治療が終わられた後の症状緩和を中心に行います。
がん性疼痛を主にがんによる症状を診療します。
緩和ケアチームメンバーの協力のもと、ペインクリニック医が診察します。
詳細について
緩和ケアチームとがん性疼痛に対する神経ブロック
緩和ケアにおける身体的苦痛、そのなかの痛みに対しては、慢性痛で用いられる薬に加えて医療用麻薬に分類されるオピオイドを用いて、がんの強い痛みの軽減をはかります。がんの痛みに用いられる薬はこの10年で多様になりました。しかしそれらを駆使しても痛みが減らせない時の治療法の一つが、神経ブロックになります。
がんの痛み治療で用いる神経ブロックは慢性痛と場合と異なり、できるだけ永久的に神経を遮断することを目的とします。
手術麻酔で術後の痛みに対して用いられる持続の硬膜外ブロックと同じ方法で、カテーテルと呼ばれるチューブを背中から挿入して、持続して薬液を注入することで痛みの軽減を継続します。長期的にカテーテルを入れておいて痛みのコントロールを行う必要がある場合は、カテーテルを皮下に埋め込んでポートを作成する方法があります。
腹部の痛みに対しては、腹腔神経叢ブロックに代表される自律神経系の神経にアルコールを用いて遮断する神経ブロックがあります。神経ブロックで穿刺する方法は、レントゲン透視によるものとCTを用いるものがあります。がんの痛みに対する腹腔神経叢ブロックなどはより安全な神経ブロックを行うため、CTガイド下における穿刺に熟練している放射線科医と連携する体制をしています。
緩和ケア科としての入院病床はなく、他科で入院治療されているがん患者の方々に緩和ケアチームがかかわり、神経ブロックの適応を含めて症状緩和に努めています。
最終更新日:2024年08月01日