独立行政法人 地域医療機能推進機構 大阪病院

診療科のご案内

膵癌の早期診断への取り組みについて

膵癌診断時のサイズと予後について

近年、膵癌症例は増加傾向にあります。膵癌は予後不良な疾患ですが、10mm未満で膵癌と診断し治療がなされた症例は予後が良好であったことが報告されており、いかに早期に膵癌を診断するかが重要な課題となっています。

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膵癌診断時の腫瘍サイズとステージについて

当院でも早期に膵癌の診断をし、治療介入できるよう取り組んでいます。これまでに膵癌のリスク因子である膵嚢胞の患者さんをフォローすることで早期に膵癌と診断できる症例もありましたが(IPMN由来癌を含む)、当院で膵癌と診断した症例の半数は遠隔転移をきたしたり、主要血管への浸潤をきたしたりしており、手術適応がない進行度(ステージ)でした。未だ進行した状態で診断されている方が多くいる状況であり、今後も膵癌の早期診断を目指して、膵癌のリスク因子について広く情報提供活動を行う、地域医療連携の強化、画像精査の質の向上などさらなる積極的な取り組みが求められます。

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膵癌のリスク因子・画像精査について

膵癌の早期診断には、膵癌のリスク因子のある方に対して積極的な画像精査を行ったり、必要に応じて定期的な画像経過フォローをしていく必要があります。腹痛、黄疸、体重減少などの有症状の方はもちろん、無症状であっても膵癌のリスク因子がある方は精査の対象となります。新規に糖尿病を指摘されたり、糖尿病の急激な悪化を指摘された方、血清アミラーゼ値などの膵酵素の上昇や血清CA19-9値などの腫瘍マーカーの上昇を指摘された方、膵嚢胞や主膵管拡張と言われたことがある方なども膵癌の高リスクであるため、膵画像精査の適応としています。まずは腹部超音波検査、造影CT、MRIなどでのスクリーニングを行い、さらに精査が必要と判断した患者さんへは超音波内視鏡検査(EUS)や内視鏡的胆管膵管造影検査(ERCP)で積極的な精査を行っています。

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ERCPによる診断・治療についてはこちら

EUSによる診断・治療についてはこちら

当院近隣の診療所の先生方と連携して診療にあたっています。膵癌のリスク因子に該当する方は、かかりつけの診療所へ相談しMRIやCTなどの画像検査を受けられるか、当院消化器内科へご相談ください。

最終更新日:2023年11月05日

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